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添乗奇談快談1. 入れ歯が飛んだ! [添乗奇談快談]

添乗奇談快談 入れ歯が飛んだ話

30年前、都内の老人会旅行の添乗員をしていた頃、こんなこともあるのか?という機会に出会った。昔の観光バスは、今のようにタイヤのエアーを抜いて車高を低くすることができなかったので、ステップの下にバス会社や観光地、ホテル側がサービスの一環で、「踏み台」を用意して、お客様が降りやすくしていた。
おじいさんやおばあさんがそのステップ台から地面に降りる時に、「よいしょっ」と掛け声とともにふっと入れ歯が前方に飛び出してしまった。その時は、そんなに簡単に口から飛び出すものかと驚いた。

南伊豆の温泉地・蓮台寺温泉に泊まった時、天城峠のループ橋がまだできる前のことだ。曲がりくねった峠を下ったため、車酔いをしたおばあさんがいた。ホテルに着いたとたん、ビニール袋に嘔吐したが、その後、体調は少しずつ回復したようだった。
夕食時間が迫った頃、ある部屋の人から「私の入れ歯が無くなった」と知らせが来た。私は、どこで無くしたのか、本人に事情を聞いたが、そのおばあさんが車酔いをしたおばあさんだと気がついた。まさかとは思ったが、観光バスを降りる時に嘔吐した排泄物を捨てたポリ容器を調べに行った。その排泄物がはいったビニール袋の中から、入れ歯が出てきた。

入れ歯は、食事をするまで用がないので、食事時間が近づくと入れ歯が無いことに気がつくようだった。30年前は大型バス(正席45人乗り)に80歳以上のお年寄りが1人でもいると、会長が「今日は80歳を越えた参加者が1人います」と言うと「お~!」同乗者から声が上がったものだった。今は大型観光バス1台に80歳以上の方が5人前後がいても可笑しくないまでに高齢化が進んでいる。最近は、そうした入れ歯の話が聞かれないのは、入れ歯の性能が良くなったからだろうか。ただ入れ歯を置き忘れるというのは、よく聞く話だ。入れ歯を入れればすぐなじみ、はずしてもすぐなじむ。入れ歯がなじむのではなく、周りの神経が環境になじむのだ。それが動物たるゆえんなのだろう。

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