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温泉夜話 温泉マーク発祥の地・磯部温泉のはなし [温泉マニア]

  磯部温泉は1989年1月に初めて訪れ、私の温泉巡浴480湯目の温泉地である。その後何度か添乗で行く機会があった。磯部公園には、磯部温泉会館や赤城神社があり、奥に温泉マーク原型の碑があった。


温泉会館

赤城神社

例の温泉の三本湯気マークである。長寿館前にも、横40cm・縦30cm位の長方形の石碑があり、説明版もある。

 昭和の中頃、東東野の佐藤太郎氏によって、万治四年(1661年)日付の裁許(さいきょ)絵図(えず)が発見された。3月25日付の江戸評定所(最高裁)判決文に、中野谷村と上磯部村とがその中間にある原野の境界を江戸に出て争ったもので、その判決文に補足して、理解を容易にするための彩色された絵図が添付されている。その絵図の西上磯部塩の窪の2箇所に温泉記号が記されている。

 地図的記号としての温泉記号は、内務省地理局測量課による明治14年の「五百分の1乃至二千五百分の1測絵図譜」の温泉記号が最も古く、四角絵に三本の縦棒が立っている。現在使われている湯気三本マークは、同測量部の明治33年に使われたものが最も近い。ともかく、近代の地図測量上の温泉マークの使用の実に239年前にすでに公式の絵図に使われていたとは驚きだ。

 ところで、この絵図の原図を見てみたいと、磯部煎餅の松風堂の女将さんや、観光案内所の方、磯部ガーデンのフロントに聞いても「温泉会館にあるのでは?」というあやふやな返事だった。この日は土曜日だったので、温泉会館は休日で見学は出来なかった。

 帰宅してから、安中市商工観光課に電話をし、聞いてみたが、やはり分からず、それに詳しい高橋正信さんの電話番号を教えてもらった。そこに電話をすると、娘さんが出られ、「父は今年1月に84歳で亡くなりました。そういえば子供の頃、父に絵図を見せられた記憶があるが、今どこにあるか分からない。弟に聞いて分かったら電話をします。」と言ってくれた。お父様は、新聞記者だったようで調べて記事を書いていたという。後に「新聞の記事や絵図のコピーはありますが、オリジナルは教育委員会に保管しているはずです。」との御電話をいただいた。その後何日かして、教育委員会に電話して尋ねた。教育委員会にはなく、高崎の群馬県立歴史博物館に所蔵しているが、展示はしていないと言う。その後、県立歴史博物館に行った時、ぜひ見せていただけないかと申し出たことがあった。書類で閲覧申請書を提出し、二週間ほどかかるが、許可が出るかどうか連絡をするという。結局、いまだ見ることができないでいる。  是非、本物の絵図を見てみたい。それにしても、磯部温泉の関係者が誰も知らないとは驚いてしまった。あれだけ「日本最古の温泉マーク発祥の地」と宣伝しているのだから、責任を持って応えて欲しいし、常時オリジナルの絵図を見られるような措置をして欲しいものだ。

2000年9月発表の「温泉夜話」を加筆して転載

安中市ホームページhttp://www.city.annaka.gunma.jp/kanko_spot/kigou.html
旅と温泉の相談室アスパサービスhttp://www.a-spa.co.jp/
秘湯・異色の温泉宿http://www.a-spa.co.jp/hitou/
エッセイ「温泉夜話」 http://www.a-spa.co.jp/yawa/index.htm
温泉巡浴紀行http://www.a-spa.co.jp/junyoku/index.html
温泉マニアショップ http://www.a-spa.co.jp/maniya/index.html
温泉水サーチhttp://www.a-spa.co.jp/onsen-shop/search.html
旧街道をあるく旅http://www.a-spa.co.jp/tabi/nikko/


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bunkanokuni

私も週刊新潮の連載中に、温泉マークに関して問い合わせたことがあります。
by bunkanokuni (2007-10-15 20:17) 

hide-m

サイコ・トラベラー さん nice! とコメントをありがとうございます。温泉マークに関しての記事を書かれたのでしょうか。
by hide-m (2007-10-21 11:47) 

yokomi

見せて減るもんでもないし、ちゃーんと展示して欲しかったですね(^_^)v
by yokomi (2021-04-30 01:12) 

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