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添乗奇談快談25. ガイドの修練は、生き方そのもの・・・ [添乗奇談快談]

添乗奇談快談25. ガイドの修練は、生き方そのもの・・・

昔のガイドさんの生き方.jpg
金森 達 画

昭和40年代の観光バスガイドは、自分のガイド力がすべてだった。当時は高速道路がまだ整備されていないので、旅程は、ほとんど同じルートで帰ってくるというコースだった。しかも観光バスには、テレビ・ビデオやカラオケの設備がない時代である。1泊2日の旅程であれば、出発から帰着までほとんどガイドは話しっぱなしだった。ルート上の歴史や伝説、民謡や民話の説明、それに客層によっては多数のお客とのやり取り・・・。お茶の時間にはお茶を入れる。さらに担当ドライバーとは、道順の確認とか居眠り防止などの対応とか。

ベテランのガイドは自分の特性をよく知っている。歴史が得意なガイドは、行きも帰りも観光バスで通過する土地の歴史をくまなく説明する。「この話は明日同じ道を通るので、明日話します」というような・・・。民謡や民話が得意なガイドは、よくその土地の民謡や民話を披露していた。お客とのやり取りが得意なガイドは、その時間を多く使っていた。自分の欠点をカバーするための努力をしていたというべきか。

ガイド教官役のガイドが、乗務員の夕食のとき、一杯お酒が入って午後8時を過ぎると「私は明日の準備があるので、これで部屋に戻ります」と帰っていった。ガイド歴三十数年というベテランでも、明日の旅程説明の準備のためこれから勉強すると知って驚いたものだ。大体のことは説明できるといっても、毎日最大限の説明をきちんとやるという姿勢に感動した。

今の時代の観光バスには、カラオケやビデオテレビでの映画、ビンゴゲームなど・・・ガイドが手を抜く手段は相当増えた。お客がお菓子をぽりぽりし始め、「お茶でもほしいわね」というひそひそ声が聞こえていて知らん振りというガイドもいる。その上に、帰りの旅程では、ほとんどガイドをしないという観光バスガイドが多くなってきた。ガイドの職業を放棄するのかと嘆かわしい限りとの思いしきりである。


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