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湯西川温泉のサンショウウオの燻製のはなし。 [温泉巡浴]

湯西川温泉のサンショウウオの燻製のはなし。
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金森 達 画
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沢にサンショウウオ採りの仕掛け(高桑信一著「山の仕事、山の暮らし」)

たまたま図書館から借りた高桑信一著「山の仕事、山の暮らし」(2002年刊)を読んだ。「桧枝岐の山椒魚採り」の項で、栃木県の落人伝説の湯西川温泉を思い出した。昭和52~53年頃、旅行業の団体客の添乗員として、よく湯西川温泉へ出かけた。栃木県の湯西川温泉、二俣温泉は落人伝説の温泉地で知られる。湯西川温泉には民俗資料館があり、その伝説を裏付ける資料が展示されていた。各旅館では、囲炉裏焼き式でシカ肉や山椒魚(ハコネサンショウウオ)の燻製が夕食膳に出されていた。居酒屋には山椒魚を毎食に生で、飲んでいるというおじさんもいて、いかにも落人の雰囲気を醸し出していた。

その山椒魚がどこから調達するのかは、梅雨時に鬼怒川の支流で採る業者がいて、旅館におさめているという話は聞いたことがあった。「山の仕事、山の暮らし」には、湯西川の山一つ越えた桧枝岐でハコネサンショウウオ採りの星寛氏の取材記事を著している。
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ハコネサンショウウオの燻製は、漢方薬の原料として、大正時代の終わりころから貴重な地場産だった。奥日光から川俣へ、そして川俣から湯西川と桧枝岐に伝わったという。星氏によれば、燻製は昭和21年から始め、1987年・昭和62年まで盛んにやっていた。5月末から8月上旬まで、舟岐川で毎年沢の同じところに鈴竹で作られた100~200ものズー(どう)を仕掛ける。その年に漁をした沢は、1~2年休ませて資源保全をしながら持続性を保ってきた。浅草のヘビ屋に年間30万匹納めたこともあるという。昭和30年頃から、山の伐採が始まり、ブナ・ナラ・栃の林を切って、カラマツ、杉を植えられ、山が荒れた。・・・日当たりがよくなると雨が降ると水が出てハコネサンショウウオが棲めなくなった。
サンショウウオ小屋に1週間ほど籠り、小屋の周囲の山菜を摘み、イワナを釣ってサワグルミの生木を燃やし囲炉裏で自炊。その囲炉裏でサンショウウオを燻し上げ、10匹づつ結わえて出荷する。昔は毎日まわったが今は一日置きで年に1万匹だ。採ったサンショウウオはその日のうちに自然に死ぬ程度の塩水につけて一晩おき、形を整えて出荷する。

こうして昔は、湯西川の山椒魚燻製の調達があって、毎日10件ほどの旅館はすべて夕食に燻製焼きが出されていた。物珍しさから口にはしたが、当時から女性客には不評でほとんど残していたようだ。20年ほど前には、別注料理として用意されていたが、最初からは出なくなったようだ。お土産屋で1袋4~5匹入り600円。居酒屋では唐揚げ800円、旅館の別注で1本雄200円、雌250円で用意しているところもある。

湯西川温泉の歴史・本家伴久:https://www.bankyu.co.jp/
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金森 達 画

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JUNKO

とても興味深いお話しでした。
by JUNKO (2021-07-04 20:59) 

kousaku

サンショウウオは特別天然記念物で絶滅危惧種ですよね、それなのに燻製にして売っているんですか?
by kousaku (2021-07-04 22:01) 

hide-m

JUNKOさん、ありがとう。
kousakuさん、ありがとう。言葉足らずでした。天然記念物はオオサンショウウオで、燻製にしているのは、ハコネサンショウウオです。安心してください。
by hide-m (2021-07-04 22:34) 

青い森のヨッチン

サンショウウオは漢方の素材ということは知っていましたが踊り食いのの様にサンショウウオを飲むなんて・・・
燻製もちょっと口には入れられる自信はないなぁ
by 青い森のヨッチン (2021-07-05 09:07) 

hide-m

青い森のヨッチンさん、ありがとう。燻製も美味しいというものではありませんでした。落人の気分になったて、囲炉裏で食べることに意義があったというべきか・・・。「生で飲むのは、生卵を飲むと同じさ」と言ってたっけ。
by hide-m (2021-07-06 08:04) 

トモミ

燻製…唐揚げ…ちょっと引いちゃいますかね(笑)?

by トモミ (2021-07-06 13:15) 

makkun

hida-mさん
こんにちわ~(^^
ご訪問ありがとうございま~すo(*^▽^*)o~♪
湯西川の文字に引かれてコメントですが
温泉大好き人間でして湯西川と言えば本家伴久ホテルで
何十回も泊りに行ってます。
超・懐かしいです(^。^)y-.。o○
by makkun (2021-07-10 16:52) 

hide-m

トモミさん、ありがとう。そう、決して美味しいものではありません。酒飲みには、香ばしくて話題としても酒の肴になるかなという感じでした。
makkun さん、いい宿を選びましたね。この宿は、いかにも伝説を裏付けるかの品々を伝承していました。私も団体客に薦めて、添乗で行きました。44年前頃、まだ観光バスが湯西川に行くことがほとんどない時代でした。道が細く曲がりくねったカーブを曲がり切れるのか、確認の電話が来たほどでした。ですから、運転手のほとんどが初めて行く温泉地で、「本当に大丈夫ですか?」と必ず聞かれたものです。一度行くと、すぐに慣れるようで、帰りは結構スピードを出していました。懐かしいです。
by hide-m (2021-07-10 17:20) 

yokomi

昔はサンショウウオが多く居たようですね。子供の頃、イモリだと思ってみ見ていた中にはサンショウウオが居たのかも(^_^;)
by yokomi (2021-07-11 13:45) 

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