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奥多摩湖に沈んだ「鶴の湯」温泉を訪ねて!  2020年6月20日(土) [東京・青梅周辺]

奥多摩湖に沈んだ「鶴の湯」温泉を訪ねて!  2020年6月20日(土)
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昭和6年3月、鉄道省発行の「温泉案内」「武州多摩郡小河内温泉書図」

青梅駅10時発の「玉堂循環」に乗り、御嶽駅下車。JR御嶽駅から奥多摩駅へ。バスに乗り換えて、「鶴の湯温泉源泉」のある「女の湯」バス停で下車。ここには山の傾斜に湖底から引いた「鶴の湯」など三カ所からの源泉を貯湯所がある。「危険!立ち入り禁止」と貼り紙。国道沿いにタンクローリーに湯を注ぐ注出口が高さ3mのところに吊り下がっている。足元には「鶴の湯温泉源泉」の表示板がある。ここから、「湯場」、「出野」を通過し「熱海」のバス停へ。
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 左手の家に「鶴の湯温泉の成分表」が貼ってあり、温泉を販売しているようだ。訪ねてみた。この家はかつて奥多摩湖底に沈んだ家の家系の一つ。すぐ近くの階段を登っていくと温泉神社があるという。
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長い階段を登り、九十九折の道をさらに行くもなかなかたどり着かない。また集落の一件に訪ねた。出てきた男性の顔を見て、互いに知った顔で驚いた。旅行会社を経営していたころに懇意にしていた地元の青梅信用金庫の56歳の社員M氏だった。今は青梅市内の本社に勤務しているという。温泉神社のこと、彼のご先祖のことや近況などを二十年ぶりに聞いた。
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 湖底にいたころの昭和初期の祖父が写っている、温泉神社前で伝統芸能の三頭獅子舞の面々の記念写真などを見せていただいた。鶴の湯温泉の関係の写真は見つからなかった。温泉神社の鳥居は新しくなっていたが、それ以外は湖底にあったころのままだった。柱は一部朽ちていて、虫食いの板なども見られた。本殿奥の透かし彫りの彫刻は、遠目に見えたが、鍵がなく近くから見ることができなかった。
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「シマザキ印刷」のブログに温泉神社祭礼の三頭獅子舞の様子が見られるとの情報もいただいた。毎年九月第二日曜日8時30分から10時まで祭礼で境内において三頭獅子舞の奉納があるという。
国道へ下る途中に小河内荘を通過。ここの宿は宿泊客以外は入浴できない。「鶴の湯温泉」のタンクがある。ちょうど国道側からタンクローリーが登ってきた。
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 さらに下るとバス停「倉下口」に出る。湖底時代の宿・丹下堂に立ち寄ってみたが、閉館だった。ライダーらしき二人連れが椅子に座ってクラシックの音楽を聴いていた。何日か前に二度、丹下堂に連絡を取ったが、いずれも留守だった。結局、鶴の湯温泉には入浴できなかった。
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奥多摩湖の「水と緑のふれあい館」では奥多摩湖ができるまでの資料が展示されている。鶴の湯温泉の写真も何点かあった。江戸時代に大変にぎわったという絵図の原本を見たかったがここにはなかった。
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神社の祭礼・三頭獅子舞
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湖底に沈む前の湯壺と地図

 鶴の湯温泉について、私の所蔵書や図書館所蔵の古書から調べてみた。
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「湖底の村の記録」奥多摩湖愛護会

大正13年10月、鉄道省発行の「鉄道旅行案内」中央本線の項、104ページに「青梅鉄道沿線」に「立川から青梅をえて二俣尾まで。さらに川に沿って・・・小河内温泉があり・・・」と温泉名が出てくる。
 昭和2年6月、鉄道省発行の「温泉案内」「中央線」の項、73ページには「小河内温泉 中央線立川駅から青梅鉄道に乗り換え、終点二俣尾駅下車。同所から7里、自動車賃1円80銭、人力車6円。東京府下唯一の温泉で、鶴の湯というは、太古傷鶴来て治癒するを見て発見されし。アルカリ性硫黄泉で温度90度(※間違いでは)打撲、創傷、皮膚病に効。
旅館 鶴湯本店13室・宿泊料1円20銭以上~2円。自炊制度 室料1日1円80銭。
   湯  本10室・宿泊料同
   鶴屋支店 8室、青木屋 11室、高野屋 8室、松野屋 5室
 昭和5年7月に大日本雄弁会講談社発行の「日本温泉案内 東部編」東京付近の諸鉱泉に小河内温泉の紹介が。御嶽駅から氷川町までは自動車の便があるが、それより二里半の間は緩い登り勾配の坂道、その先は人力車の通じないこともないが、歩くのと同じくらいの時間がかかる。温泉は、多摩川の上流、弁天淵の絶景に臨んだところにある。・・・海抜456m、巒気室に満ちて盛夏の候もなお暑さを知らずという。旅館は、鶴屋本店、鶴屋支店、青木屋、鶴之湯本、高野屋、鶴本屋、松野屋、清水家。宿泊料は1泊1円50銭より2円50銭位まで。昭和2年の資料に比べ、旅館は2軒増え、宿泊料も30銭値上がりしたことになる。
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 昭和6年3月、鉄道省発行の「温泉案内」では、14ページに「武州多摩郡小河内温泉書図」がカラー版で乗せている。上述の江戸時代の絵図だろうか。97ページに「中央線に沿うて 小河内温泉」青梅鉄道の終点御嶽駅下車、約20キロ、途中氷川まで自動車40分、50銭、そこから鉱泉まで10キロ、小型貸切自動車が行く、2円50銭。アルカリ性硫黄泉、温度26度。打撲、創傷、皮膚病、脳病など。旅館は鶴屋本店、鶴屋支店、青木屋、高野屋、松野屋。

 小河内村を湖底に沈める工事が始まったのは昭和13年。第二次世界大戦で工事が5年間中断。再び、村民が戻り一時耕作も行われたが、工事は再開。昭和32年に奥多摩湖ダムは完成し、村は沈没したが、源泉をくみ上げるポンプを設置していた奥多摩湖愛護会から受け継いだ小河内振興財団が運営して、1991年(平成3年)11月にポンプを使ってくみ上げた。湧出量は1分間に370リットル。現在は温泉利用組合に加盟している近隣の8軒の旅館などにタンクローリーで運んで配湯しているなかで昔の名のままで経営しているのは、馬頭館と丹下堂のみだ。


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センニン

ご訪問 & nice! ありがとうございました。
また遊びに来ます。
by センニン (2020-06-21 22:59) 

トモミ

鶴の湯、知りませんでした、今度、行ってみます!

by トモミ (2020-06-23 13:59) 

hide

センニン さん、コメントありがとう。
トモミ さん、宿によっては事前に確認しないと、宿泊客以外は入浴できないとか、湯が用意できないとかあるようです。
by hide (2020-06-23 14:30) 

Rchoose19

おはようございます。
お祖父さま、おさむらいさんだったんですか?
by Rchoose19 (2020-06-25 07:54) 

yokomi

温泉好きの方が企画する旅行に行ってみたかった...(^_^;)
by yokomi (2020-06-28 22:26) 

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