旧街道歩き閑話 11. 江戸時代の旅・伊勢参り三話 [旧街道を歩く]
旧街道歩き閑話 11. 江戸時代の旅・伊勢参り三話
画 金森達
第一話
13年前から旧街道歩きをして、車や観光バスでの移動では得られない多くのことを気付かされたり学んだりした。旧道に係わる歴史は勿論のこと、その地域の伝統、産業、気候、気質など自分が長く住んでいた場所とどう異なるのか、車社会や携帯電話の普及など便利さが重視された替わりに失ったものが無いのか?多くを考えさせる旅といえる。 なので、私は高校生などの修学旅行を旧街道歩きをしたらどうかと提案していたほどだった。先日、2008年まで奈良大学学長を勤められた鎌田道隆著「お伊勢参り」中公新書を読んで驚いた。すでに昭和61年から25年間に渡り奈良大学文学部史学科の学生を引き連れて「江戸時代の庶民のお伊勢参り」の復元をしていたのだ。いわば「実験歴史学」の旅をしていたのだ。江戸時代の旅は、公務・商用の旅、病気療養の旅等があったが、お伊勢参りは、表向きは、信仰のためとしているが街道の沿いの名所旧跡観光を楽しみ、その土地の名産を食し、土産を買い求め、みやげ話を持ち帰った。いわば庶民が旅を楽しんだ現代の旅の原形を成したのでは無いか。現代の旅は車や列車を利用する旅で、元々の旅の原形を旅を理解するには江戸時代と同じく歩く旅を実行するしかない。それを学問的に25年も前からというのだから驚きだ。旅をはじめるにあたり、草履作り体験からはじめることから、江戸時代の藁に対する知識の深さ、草履網編みの技術の高さ、足に対するいたわりの心根などそれらがは履きごこちや耐久度に影響することも学んだという。現代の商品開発のヒントにでもなりそうな話だ。
第二話
たまたま書評を読んで読書していた本に朝井まかて著書「ぬけまいる」講談社がある。これは江戸時代の江戸の庶民や町人、母と二人で一膳飯屋を切り盛りしているお以乃、譜代の御家人の妻お志花、江戸で知らぬもののいない小間物問屋の女主人お蝶がお伊勢参りで繰り広げる珍道中ぶりが描かれていてとても可笑しい。時は天保13年(1842年)伊勢山田で「浪花道中記」の話が出てくる。旅籠屋が組織している浪花講という仲間(連盟)が発行している旅の案内書で袖のなかに入る大きさなので袖珍本にと呼ばれた。旅籠や休み所の部屋、料理、もてなし、お代の案内をしていた。桑名宿の脇本陣「潮屋(うしおや)」での保土ケ谷宿での仕返しの大立ち回りはお見事。保土ケ谷宿で10人ほどの巡礼を装った白装束姿のみすず達がお大尽達を騙してお布施を巻き上げたのを諭され、それを逆恨みされて、芸者の玉代を支払わされる羽目となっていた。描かれている宿場の数は少ないが、当時の旅籠、歌舞伎や賭け事などの様子が面白く描かれている。
第三話
東京新聞3月15日付の記事が目を引いた。名古屋市博物館で、17世紀後半(江戸時代前期)に製作された伊勢参りの図屏風が初めて確認されたという。伊勢参りを風景を描いたのもとしては最古のものという。大きさは縦約1m×横約3mの六曲一隻で、「宮川の渡し」から外宮に至る門前町、桜咲く春の伊勢参りのうきうきとした老若男女の様子が描かれていて伊勢信仰が一般庶民にも広まった時代のものと判断したという。江戸時代は封建時代で庶民が苦しめられていたとする一面的な評価だけでは説明できない一つの歴史的資料だと思う。今秋20年に一度の式年遷宮を迎える年で、今回は奈良時代から数えて62回目という。この話題の伊勢参りの図屏風の実物をぜひ拝見したいものだ。
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エッセイ「温泉夜話」 http://www.a-spa.co.jp/yawa/index.htm
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画 金森達
第一話
13年前から旧街道歩きをして、車や観光バスでの移動では得られない多くのことを気付かされたり学んだりした。旧道に係わる歴史は勿論のこと、その地域の伝統、産業、気候、気質など自分が長く住んでいた場所とどう異なるのか、車社会や携帯電話の普及など便利さが重視された替わりに失ったものが無いのか?多くを考えさせる旅といえる。 なので、私は高校生などの修学旅行を旧街道歩きをしたらどうかと提案していたほどだった。先日、2008年まで奈良大学学長を勤められた鎌田道隆著「お伊勢参り」中公新書を読んで驚いた。すでに昭和61年から25年間に渡り奈良大学文学部史学科の学生を引き連れて「江戸時代の庶民のお伊勢参り」の復元をしていたのだ。いわば「実験歴史学」の旅をしていたのだ。江戸時代の旅は、公務・商用の旅、病気療養の旅等があったが、お伊勢参りは、表向きは、信仰のためとしているが街道の沿いの名所旧跡観光を楽しみ、その土地の名産を食し、土産を買い求め、みやげ話を持ち帰った。いわば庶民が旅を楽しんだ現代の旅の原形を成したのでは無いか。現代の旅は車や列車を利用する旅で、元々の旅の原形を旅を理解するには江戸時代と同じく歩く旅を実行するしかない。それを学問的に25年も前からというのだから驚きだ。旅をはじめるにあたり、草履作り体験からはじめることから、江戸時代の藁に対する知識の深さ、草履網編みの技術の高さ、足に対するいたわりの心根などそれらがは履きごこちや耐久度に影響することも学んだという。現代の商品開発のヒントにでもなりそうな話だ。
第二話
たまたま書評を読んで読書していた本に朝井まかて著書「ぬけまいる」講談社がある。これは江戸時代の江戸の庶民や町人、母と二人で一膳飯屋を切り盛りしているお以乃、譜代の御家人の妻お志花、江戸で知らぬもののいない小間物問屋の女主人お蝶がお伊勢参りで繰り広げる珍道中ぶりが描かれていてとても可笑しい。時は天保13年(1842年)伊勢山田で「浪花道中記」の話が出てくる。旅籠屋が組織している浪花講という仲間(連盟)が発行している旅の案内書で袖のなかに入る大きさなので袖珍本にと呼ばれた。旅籠や休み所の部屋、料理、もてなし、お代の案内をしていた。桑名宿の脇本陣「潮屋(うしおや)」での保土ケ谷宿での仕返しの大立ち回りはお見事。保土ケ谷宿で10人ほどの巡礼を装った白装束姿のみすず達がお大尽達を騙してお布施を巻き上げたのを諭され、それを逆恨みされて、芸者の玉代を支払わされる羽目となっていた。描かれている宿場の数は少ないが、当時の旅籠、歌舞伎や賭け事などの様子が面白く描かれている。
第三話
東京新聞3月15日付の記事が目を引いた。名古屋市博物館で、17世紀後半(江戸時代前期)に製作された伊勢参りの図屏風が初めて確認されたという。伊勢参りを風景を描いたのもとしては最古のものという。大きさは縦約1m×横約3mの六曲一隻で、「宮川の渡し」から外宮に至る門前町、桜咲く春の伊勢参りのうきうきとした老若男女の様子が描かれていて伊勢信仰が一般庶民にも広まった時代のものと判断したという。江戸時代は封建時代で庶民が苦しめられていたとする一面的な評価だけでは説明できない一つの歴史的資料だと思う。今秋20年に一度の式年遷宮を迎える年で、今回は奈良時代から数えて62回目という。この話題の伊勢参りの図屏風の実物をぜひ拝見したいものだ。
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こんにちは‼
今年はお伊勢さんも遷宮の年・・・私は行く積もりです。
by ちゃーちゃん (2013-03-30 14:51)