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奥の細道を歩く 第50回 今庄~木ノ芽峠~敦賀、色の浜、敦賀~市橋 [奥の細道を歩く]

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木ノ芽峠の「言奈(いうな)地蔵」、世にも恐ろしい弘法大師ゆかりの説話

3月20日(第49回)以来の奥の細道歩きである。昨年末に前立腺肥大、膀胱頚部硬化症の手術をし、ようやく回復したかなと思った矢先、5月下旬に6ミリの尿道結石が見つかり緊急手術を6月2日に行った。半年に2回の手術をしたことになる。体調を考えて、多少減速気味での奥の細道歩きになりそうだ。7月17日の夜行バスで福井駅へ、東京駅前での乗車時に「敦賀へは寄らないの?」と運転手に聞くと「敦賀に変更しますか?」翌18日午前5時10分、敦賀で降りるとそこは北陸自動車道のインターだった。一瞬考えたが、福井駅まで行って1時間遅く行動するよりもここで降りたほうが早いと判断し、そこで降りた。その判断が甘かった。道がわからず、結局民家にいる人に頼んで駅まで送っていただいた。JR敦賀駅からの列車は坊主頭の高校生がちらほら。「朝列車 背あてに坊主 夏の風」 前回の到着地今庄駅に着いたのが、6時20分。

梅雨明けの快晴で、日差しがとても強い。南今庄・木ノ芽峠方面へ向かう。清心寺に「地蔵祭り 7月18日」の案内が・・・。夏祭りの時期だなと実感。右折し旧道沿いに歩くと、地蔵様がところどころに鎮座する。コツラの清水を6時40分に通過。式内鹿蒜神社、往還一里塚跡を過ぎる。田圃の緑がまぶしい。「風になる 燕青田を 駆け巡り」下新道地区に高さ150センチもの石版彫りの地蔵に出会う。道の真ん中で大きな亀につまずいて、亀を脇によける。しばらくして今度は大きな蛇が横たわる。両うでに鳥肌がたつ。
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道端に石仏が・・・。

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式内鹿蒜神社

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大きな亀が横たわる

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下新道地区に高さ150センチもの石版彫りの地蔵

木ノ目峠への分岐点からしばらくして、7時30分に二ツ屋。宿場こうえんで清掃中のおばさんに声をかけると「鈴を持ってきたかね?」に「エッ!熊が出るんですか?」と驚く。亀、蛇の次は熊かよ~と頭をよぎる。8時にはまた往還一里塚跡、さらに小道になる。宗天寺無縁の墓には、文政6年の銘が刻まれる石仏が並べられている。8時27分、石仏「山神」顔の目鼻の彫りはすっかり欠けている。木の芽峠上り口からさらに道は細くなり、雑草の深い山道になる。
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山道はさらに狭く

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宗天寺無縁の墓

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木ノ芽峠への雑草生い茂る山道

 9時15分、小屋掛けの「言奈(いうな)地蔵」に到着。石版に地蔵様が彫られ、弘法大師作といわれる。いわれは怖い話だ。
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「言奈(いうな)地蔵」

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「言奈(いうな)地蔵」

 さらに15分で、白い犬にワンワン吼えられて木ノ芽峠(鉢伏山)に到着。越前と若狭の国境の標高623mに建つ番所兼茶屋だった歴史を持つ。朝からお菓子しか食べていないので、「こんにちは。この近くに食事場所はありませんか?」と訪ねると「ラーメンでも食べるかね?」の返事。これはありがたい!味噌汁に胡瓜の一夜漬け、大椀に盛られたおかゆ、しばらくしてさらに大椀のラーメンが・・・。これも食べなさいとメロンが。流石にこれはもう食べられないと辞退した。彼は代々前川家を継ぐ前川永運氏で平成4年にお父上の後を次いで、言奈地蔵など近隣の管理、木ノ芽峠にかかわる宗教界などの諸行事を司っている。築550年の土間や囲炉裏のある建築物は、私の生家北海道開拓農家時代を思い出す。家の前には、永平寺開山の道元禅師碑(1,253年、病気療養のため永平寺から京都へ行く途中に立ち寄った。5月20日前後に法要)が立ち、かつて峠を越えた平安時代の紫式部、鎌倉時代以降は親鸞、蓮如、南北朝時代は新田義貞率いる将兵が雪中で凍死。戦国時代には朝倉氏や一向一揆勢と織田・豊臣軍との戦の舞台となった。
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木ノ芽峠の碑

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永平寺開山の道元禅師碑

 前川家が織田信長と縁があることを知った豊臣秀吉が賜ったという金の茶釜や戦中茶釜などが残され、過酷な時代を一身に背負ってきた家柄を感じさせる。前川氏の生い立ちや普段の修行や行事などの話しを伺うことができた。2km先にある坂東の岩での修行は年に30、30、10日で、私より10才も年上とは思えない過酷な修行を今も続けられていることに感動。気がつくと12時、土間に置かれた陣笠をいただいて下山を始めた。彼の守り神は龍神だそうで、途中であった亀、蛇は、龍神様のお使いだったわけだ。
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築550年前川家の土間

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囲炉裏の間

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前川永運氏

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秀吉から賜った戦中釜

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木ノ芽峠からの眺望

 800m下ったところに「弘法の爪描き地蔵」に出会う。山道は胡桃の木が多いのか。「胡桃踏む 木ノ芽峠の 古道かな」20分ほどで敦賀側木ノ芽峠入り口へ。新保、葉原、腰坂を得て敦賀市内へ。緑一面の田圃に風が強く吹き、一瞬緑の色彩も形も変化する。「波打って ドミノがわりの 青田かな」気温36度の炎天下で、陣笠が役立った。
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「弘法の爪描き地蔵」

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木ノ芽峠下りの古道

 15時40分、津内町のわたなべ旅館に到着。今回新調の靴のせいか、足の甲が痛む。真っ先にお風呂に入り、6時に夕食をいただいた。牛すき焼き鍋、蛸の酢の物、甘エビと飛び魚の刺身、すいとんの餡かけ、鯛の御頭焼と1泊2食で6,000円とは思えないほどの料理に感激。重い荷を持ちたくないので、もう1泊することにした。
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敦賀市内のわたなべ旅館

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夕食膳

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朝食膳

 翌18日(月)6時20分に朝食をいただき、敦賀駅まで送っていただいた。7時発の立石行き「色の浜」へのバスに乗車する。芭蕉は敦賀から船で色の浜へ行ったので、わたしもバスで行ってもいいだろう。今日も快晴、右手に海を見ながらの路線で、昭和38年までは道路がなく交通機関は船だった。40年に敦賀原発誘致の関係でできた道路らしい。路線バスの市内は一律200円もそうした原発誘致による予算で可能になっているのか?7時35分に色の浜着、海岸へ下ってすぐに、左手に本隆寺開山堂がある。左手に芭蕉句碑がある。「寂しさや 須磨にかちたる 濱の秋」
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色の浜バス停から

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本隆寺開山堂

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芭蕉句碑

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本隆寺本堂

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本隆寺境内の円形の芭蕉句碑

 さらに100mも行くと本隆寺本堂が。境内にある「小萩ちれ ますほの小貝 小盃」円形の新しい句碑には「衣着て 小貝拾わん いろの月」ますほの貝が見られる美しい海岸はどこだ?と漁師に尋ねると「ここがそうだよ。一昨年暮から桟橋工事を始めて砂浜がなくなってしまった。約束が違う!」と憤っていた。芭蕉関係者や環境保護団体などが反対したが押し切られ、砂浜が消失してしまった。「埋め立てて ますほの貝も 夏の夢」目の前にある水島は海水浴場で、若い家族やアベックたちが、船の乗船待ちで大勢並んでいる。干潮時なのか時間がたつにつれて、水島は左手の半島部に繋がる砂州のような感じになってきた。
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一昨年末から埋め立てられた海岸線

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海水浴は、水島へ船で行く

 ますほの貝が見られる砂浜を見たいと6km先の常宮(じょうぐう)へ向かうことにした。バスの便がないので、歩いたが次のバスに間に合わないと、民家のおじいさんに頼んで軽トラックに載せて送っていただく。彼はやまもと旅館を経営するご隠居だった。手(た)の浦にある常宮神社入り口の鳥居そばには、「国宝朝鮮鐘」の石碑が建ち、右隣には芭蕉句碑も建つが朽ち果ててほとんど判読が不能だ。
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常宮神社入り口

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芭蕉句碑があるが朽ちて判読不能

 灯籠には正保2年(1,645年)の刻銘が見える。海側に面して拝殿があり、普段は参拝客の休憩所をして提供している。気比神社との結びつきが深く7月22日の総参祭(そうのうまいり)には、気比神社宮司以下神職者を御座船神宮丸を海上より拝殿に渡られるという。正月には正面から、日が昇るという。宮川宮司に朝鮮鐘を見せていただくよう案内をしていただいた。豊臣秀吉が新羅の慶州から持参した1,300年経つ世界的な名鐘で、慶長2年(1,597年)に奉納され、国宝に指定された。上下の帯には蓬莱山の図、上部の突起の乳は、三段三列で松がさをかたどっているがほとんど欠けている。表と裏に鼓を打つ天女が舞っている。宮川宮司は「最近見えた韓国の若い女性が、『私の国の宝がこんなところにあるなんて、許せない!』と泣き叫んでいました。」この近海にも北朝鮮の船が来ているはずだから、保管は厳重にしていますが・・・」とおっしゃる。
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常宮神社本殿

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本殿前にある古いがしゃれたデザインの灯籠

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海に開かれた拝殿

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展示されている「ますほ貝」

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展示されている「ますほ貝」

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国宝の朝鮮鐘

「ますほ貝は、もう限られた場所にしか見られないので、教えてあげましょう。」と地図を描いていただいた。5分も歩いた縄間の海岸で、ますほ貝を見ることができた。5~8ミリの白や桃色の小さな貝で片側がほとんどで、形がそろっているのは茶色っぽい。広い砂浜の海岸がもう見られなかったのはとても残念だった。
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常宮ちかく縄間の海岸

 11時20分発の路線バスに乗車し、20分ほどで敦賀駅へ戻る。昼食場所を探しながら、国道8号線沿いに疋田方面へ歩く。休日でファミレスは順番待ちでどこもいっぱい。コンビ二でサンドイッチと牛乳を購入し、歩きながら食べることになる。炎天下の35度は慣れたとはいえ、2日目の歩きはきつい。小河の日吉神社を通過、疋田の手前の市橋バス停に木陰があるので小休止。バスの時間がこの便(13時10分)の後に戻るのは18時過ぎなので、気弱になりこの辺で戻ることにした。

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小河の日吉神社

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市橋のバス停近くの案内板

第49回奥の細道を歩く 福井~鯖江~今庄、敦賀 その①
https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?id=19076818
第48回 奥の細道を歩く 大聖寺~天龍寺~永平寺~福井
https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?reload_blog_id=183397&id=16056339
第47回 奥の細道を歩く 那谷寺~山中温泉~大聖寺
https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?id=15586810
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woodmouse

ますほ貝探してみたくなりました。
by woodmouse (2010-07-28 10:14) 

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